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2011/10/03

輪島塗りに寄せる思い。



輪島漆器 家具膳 うるみ色 
平椀(左上)、壺椀(右上)、平皿、(真中)、飯椀(左下)、汁椀(右下)。




大崎漆器の大崎様輪島市のご協力でイベント用に
家具膳を9月中旬から11月初旬までお借りしました。
食を通して、漆器の魅力と日本の文化を味わって頂くためには
とってもいいタイミングでお借りできたことに大変感謝です!


輪島漆器の好きなところは、唇を椀に付けた時の柔らさや、ゆらぎのある光沢、何層にも重ねられた奥深さがあるところ。そして、手直しができること。昔から伝わる振る舞いを感じられる事。伝統の思いを感じられること。



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使用目的は湘南邸園文化祭でしたが、それ以外でも事ある毎に使ってみて、
使用感など、色々探ってみました。
まずは、9月19日に開催された「アロマ茶会」でランチを任されたので
膳で出してみました。


いつもは大きなテーブルで囲んで食べるのですが、
同じ囲うでもテーブルがあるのと無いとでは別世界でした。
テーブル食の普段は取皿でおかずを取って直接お箸で頂くのですが、
家具膳の場合は取皿が無いので、
「ひとつひとつ、器を持ち、料理に集中し丁寧に頂ける」ということでした。
それから写真を見ると、みな同じ格好をしている一つの理由として
お料理含めたお互いの姿も共有しているのだなって思いました。
古民家でお膳で食べるのは、普段とまったく違うようで
「異世界にきたみたい」と喜んでいました!



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日々ごはん(お昼)に使用してみました。


日常に家具膳を利用するとどのような発見があるのか利用してみました。
丼ものにちょうど良いバランスな事に発見、グラス青色が際立って綺麗にみえます。

(豚バラ肉の塩麹漬けをカリカリに焼いたのと、モロヘイヤ、オクラ、山芋、
自家製納豆のネバネバ丼。塩だけ野菜スープと お漬物に麦茶。)







うるみ色は、特に緑がとても鮮やかにみえる事を発見!
卵焼きも、食欲をそそる色。
びわの葉茶のきれいな赤茶色は同系色でお互い引き立てあってこれも綺麗です。


見てわかるとおり、葉ランが大変美しいのも、うるみ色のお膳のおかげ。
おにぎり、つけもの、味噌汁だけなのに、
こんなにおいしそうに思えるのは、お膳の魅力と昔ながらのセットにも関係しているのでしょう。
(葉ランの上に出汁ガラ鰹節・昆布をごま油と醤油で炒めておにぎりに。
お味噌汁は牛蒡と納豆の味噌汁、漬物とびわの葉茶。)


お膳はテーブルが無くてもどこでも好きな所で食事できる事に感心・発見! 
そして運ぶのも片付けるのも簡単。ふと日本の昔ながらの生活様式を考えてみます。 
ベットは片付けられないけど、布団は押入れにしまえる。
椅子は片付けられないけど・座布団は押入れにしまえる。
ダイニングテーブルは片付かないが、お膳は片付くけられる。 
部屋の壁は動かないが、襖は取れる。
日本の伝統的な暮らしは、ひとつの空間に多目的な要素を取り込めるということに感心してしまいました。 そういえば、「ここで住んでいるのですか!?」と言われる事が多いのですが、理由はそこにあるのでしょう。


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9月2日の湘南邸園文化祭がやってまいりました。
お話会からはじまり、16人分のお料理をお出しするのは大変でしたが、みなさんにもご協力いただき、和やかな時間を共有することができました。 
ご来場いただいた方には、漆器の歴史や輪島のこと、そして家具膳のこともお話しました。皆様が一同に関心することは、輪島市から家具膳を無償で提供いただいていることでした。市の思いが遥々三浦半島に届いたことに、特別な思いに感じたのでしょう。
古民家暮らしに興味がある方ばかりなので、興味津々でパンフレットを持ち帰って頂きました。

家具膳の良いところはやはり
「昔の古き良き暮らしを彷彿とさせ、その良さを再認識してもらえること」
「人数に合わせて、自由なレイアウトにできること」
「正面から一人一人配膳しながら、おしゃべりや挨拶をしたり、手を取り合って交流ができること」だと思います。
テーブルだと正面に回りこめないから、配膳する人の存在が薄くなってしまうけれど、お膳の場合は料理を出すほうも頂くほうも、一対一の手渡しができるのがとてもいいです。
両手で渡すと、両手で丁寧に受け取ってくれる。
丁寧な思いが、器を通して伝えられるこの行為には、すごく温かみを感じます。
一方で、急ぐときは大きな板を持って回転寿司の機械のように、半セルフで配膳や下げものができるという、両面があることがとっても便利。


片付け話なのですが、漆器は15膳だと150個のパーツになるから、洗い物も大変~。
だけどみんなで和気藹々と拭き乾かしているとあっという間に終わります。
漆器には拭くという手間がありますが、
拭けば拭くほど漆器はピカピカになりますし、ものを大切にするという時間を共有することで、お互いの関係も大切に育みあえる!?のではないかなと思いました。
昔ながらの漆器には大切なことが沢山詰まっています。


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9/25日には「みんなで一緒におはぎを作ろう」会を開催しました。


約40人、15世帯くらい集まったのですが、ここでも家具膳が大活躍!
もちやあんこが出来上がり、いざおはぎを丸めるときに、各世帯にお膳をお渡ししました。
おばあちゃんにおはぎの作り方を学んでる様子。
子供たちもお膳を机に見立てて、見よう見真似で同じ動きをしています(笑)
さぁ各自いっせいにスタート!!
お膳におはぎをどんどん乗せてゆきます。
子供にとってお膳の高さは丁度いい目線。今日の事が一生残る思い出になってほしい。
小さな手で、一生懸命握っている姿が微笑ましかったです。
最後は家族でお膳を囲み、食事タイム。
この時の写真がすごく良くて、お膳を好きな場所に運び、
家族で囲いながら、自分で作ったおはぎを食べる。
この家具膳が無ければ成立しなかったこと。
そして、今の時代に失いつつある畳のある暮らしとお膳のある暮らしが、新しい形で
蘇ったことに感無量です。大崎御夫妻さま・輪島市に感謝です!ありがとうございます。

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10月1日は「和の薬膳講座」でした。
新しい試みで、ちゃぶ台と家具膳を組み合わせてみました。  
自分のペースで楽しめるマイテーブルであるお膳と、
みんなとの食事を共有できる大テーブルとの組み合わせは、
お膳の新しい使い方で、昔では考えられなかったことでしょう。

理由は、日本古来のしきたりと深く関係していて、上下の人間関係が重要視された
武士社会などでは、階級によって空間や食べる場所なども明確に区別され、自由に配置できるお膳であるがゆえに、縦の世界も作りやすかったのでしょう。
みんなで丸く囲んで、ひとつの物をいっせいに一緒にいただく形は、しきたりのある世界では無かったことでしょう。

やはり、真ん中にテーブルがあると、
大皿料理をどーんと持ってきて、それを取り分けることで、テーブルを通して共有する楽しさがあったり、距離感も近づくため、和気藹々とした雰囲気になります。
「いっしょの物を食べる。」
それだけで親しみがわき、これは今の時代にあったキーワードかなと強く感じました。
なおかつ各々のお膳で自分のペースで食べられるという、いいとこ取りの組み合わせでした。




[前菜]雑穀甘酒・塩麹豆腐・塩炒りぎんなん・赤かぶの甘酢漬け・山芋のずんだ和え
・里芋と青菜の白和え・きのこと白きくらげのみぞれ和え
・れんこんのおろし揚げ・地鯛のかぶら蒸し・胚芽米・味噌汁・漬け物各種
[甘味]・梨と白きくらげの薬膳コンポート



漆器は、洗うのも作るのも手間がかかるものだけれど、
その手間が、食の時間に味覚以上の喜びを与えるものだと思いました。


こんなに深い思いをさせて頂き、
大崎漆器の大崎様輪島市に大変感謝です!
ありがとうございます。


古家1681 春日





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